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空穂物語
梅の花笠
かくて二月廿日になんまで給ける、〈◯春日社、中略、〉わかのだいにすべき事、すこしえりいで給へとのたまふ、なかよりつかうまつりにくきこと、かならずといひて、かきいだす、あはれけふは春のなかば、月ねまちお昨日といひて、はなのにほひおさそふうぐひすのこえおむかへ、〈◯中略〉冬おいなふる鳥とかきいだして、兵部卿のみこにたてまつる、御覧じてねまちの月お、昨日こそねまちもせしか春のよのこよひの月おいかヾ見るらん、とかきて、中つかさのみこにたてまつり給、