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枕草子

あはれなる物 二十六七日ばかりのあかつきに、物がたりしていあかして見れば、あるかなきかに心ぼそげなる月の、山のはちかく見えたるこそいとあはれなれ、〈◯中略〉あれたる家にむぐらはひかヽり、よもぎなどたかくおひたる庭に月のくまなくあかき、