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塵袋

北辰北極と雲ふは、別の星歟、同星歟、天文師のしるべきことにや、爾雅には北極は北辰也と雲へり、この説によらば同星也、北極の五星とて五星のつヾきたまへる上に、左右に二づヽ四の星あり、これお四輔星と雲ふ歟、五星の中に北辰星あり、これそのいたれるべし、北辰、北君、元鏡、元宿、北天、これお北極の五星と雲ふにや、同星なれども、つヾけて北辰北極と雲ことつ子の事也、神分の詞に、四禅、八定、天王、天衆と雲ふが如し、八定の中に四禅もこもりたれども、ことはかはりて多少おなじからねば、雲つヾくるならひ也、就中(このなかに)北辰と雲ふは、たヾその主おあぐ、伴おば雲はず、北極と雲ふになれば、伴の星もみなこもれば、主と伴とお雲ふ心地にもやあらむ、北辰、妙見、尊星王、太一、天一、大帝、大雲星光、并水曜、吉祥天、これら一々にくさり合ひて異説繁多也、