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新蘆面命
元禄甲申〈◯十七年、改元宝永、〉三月八日、駿河台〈江〉参る、助左衛門殿御父子〈江〉懸御目、年来の御礼共申上候、〈◯中略〉去冬以来の地震の事、物語に及び被仰候は、金星房心お守り、又はなれ、又房心お犯し候より、いかさま重き御慎可有と存候、火星の事は、守にても犯にても無之、たヾ過候計りに候間、さして替ることは有之まじきものに候へども、近年火星の房心お過候に、火災等多く候へば、是亦穏ならざることヽ申上候、然れども火災等の敬(つヽしみ)とばかり存候、かくの如く大地震可有とは、かつて不得考候と被仰候事、