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伊勢物語

昔これたかのみこと申みこおはしましけり、山崎のあなたに、水無瀬といふ所に宮有けり、年毎の桜の花盛には、その宮へなんおはしましける、〈◯中略〉みこにむまのかみおほみきまいる、みこのの給ひける、かたのおかりて、あまの川の辺にいたるお題にて歌よみて、盃させとの給ひければ、かのむまのかみよみて奉りける、 狩くらし七夕つめに宿からんあまのがはらに我はきにける、みこ歌おかへす〴〵ずし給て、返しえし給はず、