[p.0148]
東雅
一天文
雲くも 古語にくといひし、黒しといふ詞なるあり、くろといひ、くりといふは黒色也、暮おくるといひ、くれといひ、暗おくらといふが如き皆是也、〈万葉集抄に、日の暮るヽおくるとも、くれともいふは、黒くなる詞なりといふ、此義也、〉 雲蔽ひぬれば、天暗きによりてくもといふなり、くろといひ、くらといひ、くもといふ、即転語なり、又天陰おくもるといふは、雲生(くもおふ)るの謂也、これは雲によりていひし所の語也、