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東雅
一天文
霞かすみ 義未詳、倭名抄には唐韻お引て、日辺赤雲也と註しぬ、説文に、雲日気相薄とも見えて、則晨霞暮霞など雲ひしものにて、此にしても朝かすみ夕かすみなどもいひ、又茜さす日とも、豊旗雲に入日刺なども雲ひしもの是也、今俗にあさやけ、ゆふやけなどもいふなり、かすみといひしは赤彩かしなり、万葉集抄にかといひしは、赤き義なりといひ、〈赤色おあかといふ、あは発語の詞なり、かはやくといふが如し、其色の火の焼るが如くなるなり、やくといひ、やけといふ語お合て呼ぶときは、かといふ言葉になるなり、俗に霞おやけといふも、また此義なり、〉日本紀には、彩、読てしみといふは、即染(しみ)也、しみといひ、すみといひ、そみといふ、皆転語なり、〈万葉集の歌に、染、読てしみといひけり、〉