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倭訓栞
前編七幾
きり 霧はいきるの義也、欝蒸の気(いき)おいふ、万葉集に白気もよみ、春日の霧流と見えたり、朝ぎり、夕ぎり、八重ぎり、天津きり、夏ぎり、夜ぎり、天のさぎり、山ぎり、うき霧、はつぎり、薄ぎり、川ぎりなどよめり、秋おもとヽして四時にわたりて歌にもあり、霧の浮浪、霧の海、霧の籬などは、皆見たてたる詞也、七夕に霧の戸ばりとよめるも同じ、詩にも霧幕など作れり、