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源氏物語
三十九夕霧
きりのたヾ此軒のもとまでたちわたれば、まかでんかたもみえずなりゆくは、いかヾすべきとて、山里の哀おそふる夕ぎり(○○○)にたちいでん空もなきこヽちしてときこえ給へば、山がつのまがきおこめてたつ霧も心空なる人はとヾめず、ほのかにきこゆる御けはひになぐさめつヽ、まことにかへるさわすれはてぬ、