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東雅
一天文
霜しも 義不詳、東北の地方にて、冬の空のきはめてさえぬる夜に、降れる霜の、木末垣ほなどに、悉皆花おなしぬるお、しらぼといふものは、即是霜華なり、しらぼとはしもといふ語の転じたるなり、其語方言には出たれど、しもといひしは、其色の白きに因れりといふ事の、徴とするには足りぬべきなり、〈或説に、しもとはしむなり、寒き事の身にしむおいふなりなどいふは、いかヾあるべき、〉