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伊勢物語

むかし男有けり、ならの京ははなれ、此京は人の家まださだまらざりけるときに、西の京に女ありけり、〈◯中略〉それおかのまめ男、うち物かたらひてかへりきて、いかヾ思ひけん、時はやよひのついたち、雨そぼふるにやりける、
 おきもせずねもせで夜お明しては春のものとてながめくらしつ