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源氏物語
九葵
君はかくてのみもいかでかは、つく〴〵とながめすぐし給はんとて院へまいり給、御車さし出て、ごぜんなどまいりあつまるほど、おりしりがほなるしぐれうちそヽぎて、木の葉さそふ風あはたヾしう吹はらひたるに、おまへにさぶらふ人々ものいとヾ心ぼそくて、すこしひまありつる袖どもうるほひわたりぬ、