梅園日記

二

夏雨金(○○○)　五六月ひでりの頃、たま〳〵雨ふれば、農民はかねのふる也とよろこぶ、誹諧玉海集に、宗珠が、雨乞とゆふだちはこがねかたな哉、とよめるは是なり、もろこしにも趙崇森が又旱喜雨詩に、五月炎歊化作霖、分明滴々是黄金、〈後村千家詩〉曾幾が六月十四日、大雨連朝詩に、黄金北斗高、何似六月雨〈茶山集〉など作りたるも、似たることなり、〈◯中略〉
夏雨分(○○○)馬脊(○○)　学海余滴巻十に、続博物志雲、俗以五月雨、為分竜雨、一曰隔徹雨、本邦諺曰、夏雨分馬脊、既隔車徹、則其理必応分馬脊也とあり、〈按に南畝莠言亦此説あり〉按ずるに、田家五行拾遺に、夏雨分牛脊〈七修類藁に、自然一対、夏雨分牛脊、秋風貫驢耳、〉とあり、牛お午と読あやまれる人の、いひそめたるにはあらずや、