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万宝鄙事記
六占天気
雨 五更に雨ふれば明る日必晴、五更とは夜るの七つ時、暁前なり、くれの雨ははれがたし、 久雨の後くれがたに雨止みて、明らかに晴るはかならず又雨、 雨と雪とまじるは晴がたし 快き雨快く晴、老子曰、俄雨は日おおえず、 雨水に泡あるは、はれやすからず、 天一天上の甲午の日雨ふれば久しくはれず、天一神天より下、かのえいぬの日もおなじ、 久雨くもりて晴ず、午時の前に至りて少やむは、午時の後大雨、午の正時に少やむはよし、 久雨くらきはよし、久雨に天忽明かになるは、必ず又雨ふる、雨中に日てるは天気よからず、又雨止て後、軒のあまだり未やまざるに日照るは、又雨となる、 春甲子の日雨ふれば赤地千里、いふ心は日でり也、一説赤地は尺地也、雨へだてヽ尺地も千里のごとし、夏の甲子に雨ふれば、船おさヽへて市に入る、雲意は大水出る、秋の甲子の雨は、いねのかしら耳お生ず、冬の甲子の雨は、牛羊こヾえ死す、又一説に、春甲子に雨ふれば、船に乗て市に入、夏甲子にふれば赤地千里、秋甲子にふれば、いねのかしら耳お生ず、冬甲子雨ふれば、雪とぶ事千里と、二説同じからず、いづれの説よきにやしらず、丁巳の日雨ふれば四十五日日お見ず、〈◯中略〉 春あたヽかなるべきに、寒きは雨おほし、 夏さむきは水出、夏にはかにあつきは雨ふる、〈◯中略〉 甲午の旬中かはける土なし、いふ心は雨しげし、 朔日晴れば、その月のうちは晴おほし、朔日雨ふれば、月の内くもりがちに雨ふる、朔日の前より雨つヾきたるはかろし、毎月初三日晴れば、久しくはるヽ、十五日晴れば久しく雨ふらず、 三日月の下に黒雲ありて、よこぎるれば明日雨ふる、 晦日に雨なければ、来月のはじめかならず風雨あり、〈◯中略〉 久雨ふれば、かならず其後ひさしく日てる、 春甲子大雨ふれば夏大旱す、夏甲子に雨ふれば又秋旱す、 久雨久晴は、きのえの日より変ず、 久晴は戌の日に雨ふる、久雨はかのえの日はるヽ、 久雨晴ざるは丙丁に晴る、久雨ふらざるは戊巳にふる、 八専に入たる明日は多くは雨ふる、俗に八専の通ふりと雲、〈◯中略〉 海上のおきの方鳴るは必北風ふく、おき鳴て天気よくなる事有、雨ふりて後なるは晴る、晴ておきなるは雨、