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狭衣
二下
源氏の宮の御方にも、つねよりはとく人々おきたるこえして、よもすがらつもりたる雪見るなるべし、たヽずみ給ふまヽに、わた殿の戸より見とおし給へば、わかきさぶらひどものきたなげなき、色々の狩ぎぬさしぬきなど、きよげにて、五六人雪まろばしするお見るとて、とのいすがたなるわらはべ、わかき人々など、出いたるすがた共、いづれとなくおかしげにて、ふまヽくおしきものおなどいへば、みすの内なる人、おなじくはふじの山にこそつくらめなどいへば、越の白やまにこそあめれといふ也、