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讃岐典侍日記

つとめておきてみれば、雪いみじく降たり、今もうちちる御まへお見れば、べちにたがひたる事なき心ちして、おはしますらん有様、こと〳〵に思ひなされていたる程に、ふれふれこゆきと、いはけなき御けはひにて仰せらるヽ聞ゆる、〈◯鳥羽帝、時年五歳、〉こはたぞ、たが子にかと思ふほどに、誠にさぞかし、思ふに浅ましく、是おしうと、うちたのみ参らせてさぶらはんずるかと、たのもしげなきぞ哀なる、