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徒然草
上
雪のおもしろうふりたりし朝、人のがりいふべき事有て文おやるとて、雪の事何ともいはざりし返事に、此雪いかヾ見ると、一筆のたまはせぬほどの、ひが〳〵しからん人の仰らるる事聞いるべきかは、返々くちおしき御心なりといひたりしこそ、おかしかりしか、いまはなき人なれば、かばかりのこともわすれがたし、