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空穂物語
楼の上上
いかヾありしふりし雪のふるまでみたてまつらねば、いとわびしけれど、ききのななきそとの給へば、宮は雪おぞ山につくらせ給て、まろと二宮とはならべてみ侍しかしと、の給まヽに、なき給ぬべければ、こと〴〵にまぎらはし給へば、いとくろうつやヽかなる御ぞに、うすすはうのからあやの御ほそながにはへて、きよらにいよ〳〵うつくしげになりまさり給、雪山つくらせ給て、ひヽなあそびなど、もろともにして、みせたてまつり給、