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古今著聞集
五和歌
平治元年二月廿五日、御方違の為に、押小路殿に行幸有けり、透廊にて夜もすがら御遊ありけるに、女房の中より硯蓋に紅の薄様おしきて、雪おもりて出されたるに、和歌おつけたりける、
月影のさえたるおりの雪なればこよひははるもわすれぬるかな、
返し、
くまもなき月のひかりのなかりせばこよひのみゆきいかでかはみむ