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八雲御抄
三上天象
風 神風〈いせの国、経信卿の説、〉 春 秋 はつ あまつ 夜 夕 朝〈万一〉 山 野 浦 浜 河 浪 しま たに 松 しほ おひ うは した よこ おき〈後拾、長能歌也、〉 は〈羽葉清輔抄〉 南〈雪ゆきといへり〉 あま しなと ありそ ときつ〈万〉 うしほ〈万〉 みなと いえかせ〈家風也〉山した のせ〈清輔抄〉 北 冬〈同〉 こち〈東風也、あさこち、隻こちともいへり、〉 あなし〈いぬい也〉 ひかた〈日方ひつじさる、俊頼抄巽風也、範兼はこち風のふきやまぬなり、〉 おきつ はやち〈海神のふかする風也〉 あゆ〈東の風とかけり、是家持が越中守時作歌也、是北陸道詞也、〉 いかほ こからし〈秋冬〉 山おろし 河おろし〈さよふけてとよめり〉 山こし うらこし〈あはれなるかぜなり〉 野分 しのヽおふき まかぜ くすのうら しなとの しまなびく〈俊頼抄〉 あらしまかぜいたま〈万〉 あすかかぜ はつせ風 さほかぜ〈已上三は所名也、万にあり、〉風ともいはで山おろし吹ともいへり、風まつりといふは、社などに風なふかせそと申也、又万葉になみおそろしと、かぜまもりとよめる、これ舟事なり、 こがらしは秋冬風木枯なり、但こがらしの秋のはつ風ともよめり、野宮歌合に、正通冬物と難て閉口畢、 こヽろあひのかぜ わいたやまし きたこち、これらも風名也、 おしやな〈巽風、清輔抄、〉 谷風にとくる氷は、是毛詩心也、 謂東風雲々、猶氷可解風也、但作春谷風又多、