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物類称呼
一天地
風かぜ 畿内及中国の船人のことばには、西北の風おあなぜ(○○○)と称す、二月の風おおに北(○○○)といふ、三月の風おへばりごち(○○○○○)と雲、四月未の方より吹風おあぶらまぜ(○○○○○)と雲、五月の南風おあらはへ(○○○○)といふ、六月未の風おしらはへ(○○○○)といふ、土用中の北風お土用あい(○○○○)といふ、七月未の風おおくりまぜ(○○○○○)と雲、八月の風おあおぎた(○○○○)といふ、九月の風おはま西(○○○)といふ、十月の風おほしの入こち(○○○○○○)といふ、十一月十二月の頃吹風お大西(○○)と雲、〈◯中略〉 伊勢国鳥羽或は伊豆国の船詞に、二月十五日前後に一七日ほど、いかにもやはらかに吹く風おねはん西風(○○○○○)といふ、〈但し年毎に吹にもあらず〉三月土用少し前より南風吹あぶらまじ(○○○○○)といふ、四月よき日和にて南風吹おほせ(○○○)といふ、五月梅雨に入て吹南風おくろはへ(○○○○)といふ、梅雨半に吹風おあらはへ(○○○○)と雲、梅雨晴る頃より吹南風おしらはへ(○○○○)と雲、六月土用半過より、北東の風一七日程吹年有、ごさい(○○○)と雲、〈六月十六七日伊勢の祭礼有、出家も参事也、故に御祭といふ也、〉六月中旬東風吹年あり、ぼんごち(○○○○)と雲、それ過てより南風吹おくれまじ(○○○○)といふ、八月の風おあおぎた(○○○○)と雲、〈はじめは雨にそひて吹、後はよくはれて北風吹なり、〉又雁わたし(○○○○)とも雲、十月中旬に吹く北東の風お星の出入(○○○○)といふ、〈夜明にすはる星西に入時吹也〉又大風には二月吹お貝よせ(○○○)と雲、〈正月の節より四十八夜前後の西風也〉三四月東南の風吹おなたねづゆ(○○○○○)と雲、四五月吹東南の風おたけのこづゆ(○○○○○○)といふ、八月に吹風お野分(○○)といふ、〈正月の節より二百十日め前後にふくなり〉十月西風吹神わたし(○○○○)と雲、〈霜月の荒(○)といふは、廿三日より晦日までの間に荒るとしあり、〉近江国湖水にて風の定らぬ事お論義(○○)といふ、日和風おといて(○○○)と雲、湖上の風お根わたし(○○○○)と雲、秋冬の風お日あらし(○○○○)と雲、春夏の風おやませ風(○○○○)、又ながせ風(○○○○)、又せた風(○○○)、播磨辺又四国にて、春南風にて雨お催す風おやうず(○○○)と雲、越後にて東風おだし(○○)といふ、西北の風おしもにし(○○○○)といふ、西南の風おひかた(○○○)といふ、