[p.0280][p.0281]
袋草紙

俊頼歌雲 
しなのなるきそ地のさくらさきにけり風のはふりにすきまあらすな是は信濃国は極風早き所也、仍〈て〉すはの明神の社に、風祝と雲物お置て、是お春の始に、深物に籠居て、祝して百日之間尊重するなり、然者其年凡風閑にて、為農業吉也、自らすきまもあり、日光も令見つれば、風不納雲々、其意也、是は能登大夫資基と雲人、俊頼に語雲、如此事承之、歌に読と思也雲雲、俊頼答雲、無下の世俗事也、如此事更々不可詠不便雲々、仍存其由之処、後日詠之、猶腹黒事歟、五品後悔雲々、