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雷は、いかづち、或はかみと雲ひ、又字音にてらいと雲ふ、奈良朝以来、雷鳴の時には、侍衛の官人必ず宮中に祗候せしが、後には大雷三度に及べば、左右近衛は御在所に、左右兵衛は紫宸殿前に陣し、内舎人は春興殿の西廂に立つ、之お雷鳴陣と雲ふ、後世は唯蔵人及び滝口御壺に候して鳴弦し、御持僧念誦するに止まれり、霹靂は、かみとけ、或はかみときと雲ふ、即ち落雷なり、落雷の為に火災お起し、屋舎お破られ、人畜の害せらるヽこと屡々なり、電は、いなびかり、いなづるび、或はいなづまと雲ふ、電光なり、