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万葉集
十九
太政大臣藤原家之県犬養命婦奉天皇歌一首
天雲乎
あま
ぐも
お
、富呂爾布美安多之(ほろにふみあたし)、
鳴神毛
なる
かみ
も
、
今日爾益而
け
ふ
に
まさり
て
、可之古家米也母(かしこけめやも)、右一首、伝誦掾久米朝臣広縄也、
悲傷死妻歌一首并短歌〈作主未詳〉
天地之
あめ
つち
の
、
神者無礼也
かみ
は
なけ
れ
や
、愛(うつくしき)、
吾妻離流
わが
つま
さか
る
、
光神
ひかる
かみ
、
鳴波多〓嬬
なる
は
た
おと
め
、携手(てたづさへ)、
共将有等
とも
に
あらむ
と
、
念之爾
おも
ひし
に
、
情違奴
こゝろ
たがひ
ぬ
、〈◯下略〉