梅園日記

一

初雷　日次紀事雲、凡一春之中、雷初発声、是謂初雷、京俗節分之夜、貯置所撤家内之熬豆、聞初雷時、則三粒食之、寒夜筆談雲、世の人初雷の鳴時に、節分の豆おくふは、鶡冠子に、夫耳之主聡、両豆塞耳不聞雷霆と、此語おつたへ誤たる也、按ずるに玉燭宝典〈巻十二〉に、荊楚記雲、家々留宿歳飯、至新年十二日、則棄街衢、以為去故納新、除貧取富、又留此飯、須発蟄雷鳴、擲之屋扉、令雷声遠也、〈太平御覧八百五十に、時鏡新書お引て、発お驚に作り、扉お上に作れり、〉とあり、これより出たる事なるべし、