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応仁記

相国寺塔炎上之事
文明二庚寅年十月四日の初月、一天くもりなかりけるが、月山の端に懸ほどなるに、乾愛宕の方より掻曇、大雨車軸の如し、雷電掩耳折目も甲斐ぞなき、良有て相国寺七重の塔一基、去々年焼残てありけるに、雷落かヽり焼上櫓、番衆見て申けるは、猿の如なる物、塔の重々に火お付けるに、焼けるとぞ申ける、