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厳有院殿御実紀附録

寛文五年正月二日、浪華城天守雷火にて焼しとき、大番士榊原源兵衛政信、竹内三郎兵衛信就、夜お日についではせ下り注進す、松平伊豆守信綱旅装のまヽにて、御前に出よとてめし出されしに、やヽしばらく有て、何ばかりの事にてありしと御尋あり、伊豆守両人に物に譬て申上よといふに心つき、臣等が小屋の床の上におきし茶碗お、雷後にとりてみ侍れば、悉く砕て有しよし聞え上しに、そはおびたヾしき響かなと仰られしなり、