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虹は、にじ、又はぬじと雲ふ、白虹天に宣り、日お貫き、其他異常なる事ある時は、祥災お卜定せり、又中世虹の見ゆる所に市お立つるの習俗あり、気は、きと雲ふ、白気あり、赤気あり、光曜あるあり、古は此お占書に考へて、災祥の応徴とす、気と雲へる名は、甚だ広漠にして、雲も気なり、霞も気なり、今此篇には時ありて空中に現じ、別に其名なき者のみお挙げたり、而して方伎部天文道篇に望気の事お載す、参看すべし、又下野の室の八島の烟の如きも、此に附載す、陽炎は、かげろふと雲ふ、又あそぶいと、いとゆふの名あり、春晴の日、田野の間に見ゆる所の気なり、又武蔵野の逃水も陽炎の類なるべければ、此に附載す、