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倭訓栞
前編二十爾
にじ 虹おいふ、丹の義、じはすぢの反也、又白虹も見ゆ、日本紀にぬじとよみ、万葉集にのじといふも皆通音也、今も東国の俗はのじといふとぞ、霊異記に電およめり、雉囊抄に、虹おおにじ、霓おめにじといふ事あり、博聞録には、虹霓、但是雨中日影也と見えたり、又霏雪録には、蟾蜍の吐し気也といふ、備中の岡氏かヽりしお、まのあたり見しと話れり、虹蜺の字、虫に従ふもさる事にや、西国にてゆふじといふは、夕虹の略にや、