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甲子夜話
八十
詩集伝蝃蝀の章、蝃蝀在東の註に、蝃蝀虹也、日与雨交、〓然成質似有血気之類、乃陰陽之気、不当交而交者、蓋天地之淫気也、在東者暮虹也、虹随日所映、故朝西而暮東也と見ゆ、然るにこの六月廿日の夜亥刻納凉して端居せしに、虧月東方に昊らかるに、西天に白虹空お宣る、予〈◯松浦清〉左右おして、其状お審にせしむ、報じて曰く、白虹の中青虹交ると、然らば夜の虹は月に映じて形お為すこと、昼の日に映ずると同じ、左右数人皆未だ曾夜虹お見ることなし、一人は嘗て見ることありと雲、詩註は昼虹お雲たるなり、