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一話一言
十一
赤気 赤気〈長凡九尺余、幅五寸許、地より離るヽこと五六丈、〉以上皆下より見計らひての寸尺也、 酉の半刻頃より戌の刻に至て消る、遠近ははかりがたし、 関宿城中より見渡せば、戌亥の方より、少し子の方へふりてあらはる、其色真の朱にして、上下共にぼつとくまどりたるやうに見ゆ、是は赤気と雲ものにて、古来より異国にても度々有事也と、また赤きは陰気の壮なる所へ出るは、全く陰気のこりたるものにて、明日は大雨ならんと雲しが、少し曇りたる由也、又古河〈関宿より三里〉にても、同様に見へしと雲り、右段々上下よりうすくなりて消し、 安永九庚子年十二月十二日夜也関宿侯久世隠州臣、池田正樹〈権左衛門〉記にあり、