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宴曲抄

双六
夫双六の基は、遠西天の古より、近く東土の今に至まで絶ざる玩、様々の品お顕はす、〈○中略〉是お陰陽に象、盤の局おきざみては、此十二廻に象、かるが故えに則其名お双六とよぶとかや、三十石お並ては、黒白月の一廻十五の石お分立、〓に又十二の目お定、十二時に拵して、行度は筒の中おば夜とし、外に出事は昼とす、倩其風お思とけば、勝負お互にあらそふ様、世のわたらひの端も皆、浮も沈もとにかくにあざなはれる縄の、一筋に思さだめん方ぞなき、〈○下略〉