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源氏物語
二十六/常夏
やがて此御かたのたよりに、たゝずみおはしてのぞき給へれば、すだれたかくおしはりて、五せちのきみとて、ざれたるわか人のあると、すぐろくうち給、ておいとせちにおしもみて、せうさいせうさいといふこえぞ、いとしたどきや、あなうたてとおぼして、御ともの人のさきおふおも、てかきせいし給て、なおつまどのほそめなるより、さうじのあきあひたるおみいれ給、この人もはた気色はやれる、御返しや〳〵、と、どうおひねりつゝ、とみにも打いでず、中に思ひはありやすらん、いとあまへたるさまどもしたり、