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〈新板双六〉極楽道中図絵
此双六は、是迄通例の双六と違ひ、算木お〈信疑善惡 〉と定、ふりはじめ、此世界南胆部州にて〈善 〉此目おふり出せば、聖道門に入、布施、持戒、忍辱、精進、禅定、知恵等の諸行おつとめ、仏果に至りがたく、又〈信 〉此目おふり出せば、浄土門他力易行の大道に至、速に極楽往生おとぐ、又〈疑 〉此目お出ば、天人の吾衰、人道の四苦、又は殺生、偸盗、邪婬、妄語などにいたる也、又〈惡 〉此目おふれば、貪欲、嗔恚、愚痴より餓鬼、畜生おへて地獄に落、又中途にても信善おふれば、上段〈江〉進み、疑悪おふれば、次第に三惡道に落、如此算木の目、信疑善悪の差別にて、千変万化して誠におもしろく、他力安心称名相ぞくの御縁とす、 〈寺町四条下る〉菊屋喜兵衛