[p.0031]
羽倉考

筒塞之事
御産の儀に必筒塞の事あり、或は筒塞の興事、戯事などヽあり、或は打攤とあり、御産部類記にも火しく見え、玉海安徳降誕の三夜五夜に、其儀式殊に詳なれども、何様の事お為と雲こと書面に見えず、元永二年の源礼委記に、置碁手紙、上達部料立高坏、殿上人料折敷雲々、大進取筒塞置円座、従六位至公卿、次第置集攤紙各一帖、次有擲塞之戯事などヽ見えたり、蓋碁手と雲名に拠ば、此紙は、賭物と見えたり、公卿殿上人に各一帖づヽ給はりて、下臘より次第に此紙お持参し、一所に集め置き、各塞お擲て貴塞お得たる者、之お取事なるべし、和名抄に、後漢書註桂苑珠叢抄等お引て、意銭お攤と見えたれども、筒及塞あるなれば、意銭には非ず、攤とあるは塞お攤の義なるべし、然れば所謂博なり其産の礼に博お為の義は、拠どころいまだ詳ならず、