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守貞漫稿
二十八
穴市
あないち(○○○○)は、あなうちの訛也、穴打お本とす、京坂の児童行之、今世は銭お用ひず、虊子或はぜヾがいお以てす、ぜヾ貝江戸にて、きしやごと号く、小螺也、
壁或は塀の下に、宣り二三寸の半円形お地に穿ち、三四尺前に一系お引き、こヽに立て虊子及ぜぜ貝お投げ入れ、穴中に納むお勝とし、若一二粒にても穴外に出るものは、別の虊子銭貝お以て打当之お勝とし、打過るお負とするの戯なれども、右の虊子ぜヾがいともに賭物とする故に官禁あり、虊子は皮お去り黒子お用ふ、号てつぶと雲、粒也、皮お未去物おむくろじと雲、手玉には用之、又京坂の小児銭おぜヾと雲、是に用ふ、小螺代銭の意にて、ぜヾがいと雲ならん、〈○中略〉右のあないちお、今世の小児はかぼいれの戯と雲、
今世の児童のあないちと雲は、地上に横二系お引く、二系の間三四尺也、下系の下に立て上系の上に、つぶ及びぜヾ貝お投散し、同物一粒お以て打当るお勝とす、一粒お以て当る料お玉と雲、此玉に用ふつぶには、内お空にし鉛お納るものあり、ぜヾ貝には無之、