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四雲碁話

聖目の事
近来上州辺の老人の話に、局面の中央へ先お置事お太閤先といふよし、其の義は豊臣太閤秀吉公、囲碁お好みたまひけるが、中央へ先手お置きて、敵手の真似おすれば負ることなし、持碁か一目勝になる理なりとのたまへりといふ、囲碁口伝に、教深が説に曰、まねび碁といふ事あり、普通の人は不知雲々、真似碁の事おいふか、若くは太閤先の事ならば、極て僻説なり、十八手にて真似不成打方あり、