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今古残葉
三十六
囲碁の図に題する詞
やよひのすえ、つれ〴〵のまゝに、人々碁おうち侍る、わが〈○豊岡光全〉子の尚資も、十一ばかりのわらはにて、光香朝臣とうち侍るに、はまおひろふとき、かの朝臣のかたに、石おかくし持てまけぬるよしいひて、後その石お出して勝になり侍りしお見おりて、たはむれによみけるお、弟なりける政熙なんそのうたおえがきて、尚資にそのうたかゝせよとこひけるになん、かきつけさせ侍る、うちよする手なみにばまおかくされてうちしも今はうづもれにけり