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源氏物語
四十九/寄生
けふのし れ、つねよりことにのどかなるお、あそびなどすさまじきかたにていとつれ〴〵なるお、いたづらに日おおくる、たはふれにてもこれなんよかるべきとて、碁ばんめしいでゝ、御碁のかたきにめしよす、いつもかやうに、けぢかくならしまつはし給にならひにたれば、さにこそはと思ふに、よきのり物はありぬべけれど、かる〴〵しくはえわたすまじきお、なにおかはなどの給はする御けしき、いかゞみゆらん、いとゞ心づかひしてさぶらひ給、さてうたせ給に、三ばんにかずひとつまけさせ給ぬ、ねたきわざかなとて、まづけふはこの花ひとえだゆるすとの給はすれば、御いらへ聞えさせで、おりておもしろきえだおおりてまいり給へり、