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翁草
百四十二
碁に手直りと雲事有り、世上の碁お嗜む人、それ〴〵碁家の門弟と成り、其芸募りて、上手へ対し三子著(みつおく)する位になれば、手直りの事お望む、上手碁お見て、位相応に手お直し遣す、是に六段有り、初段は三つ、二段は二つ三つ、三段は二つ、四段は先〈ん〉二つ、五段は先〈ん〉と半石づヽ上るなり、六段は畢竟上手と等しけれども、師弟の訳お以、三番の内、二番先〈ん〉お著して、一番上手より先〈ん〉お置、五段六段の弟子は世に希也、碁所は又上手に一石上也、三の碁は四つ、二つ三つの碁は三つ四つと雲格也、