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北窻瑣談
後編四
一道策本因坊は、近世囲碁の名人と雲、察元、亦其頃の妙手にして、道策と碁お囲むに、勝負たがいにして、其優劣お見る事なし、但碁盤お四面寄並べて一面として囲む時は、察元遥に劣りて一番も勝事能はず、是盤面広くなれは、察元が眼力行届きて見る事能はざる故なり、是人才の庶人たる時は、格別常人に異なることあらざるに、挙て用る時は、大に其功おあらはすがごとし、