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倭訓栞
中編八/古
ごいし 碁石也、白黒ともに紀伊国に出、黒は那智黒と称せり、〈○中略〉又いはく、〈○山冢集〉答志郡すが島の内に烏崎といふあり、此浜の小石皆黒し、又鷺島もほど近し、又豊後佐賀の関に、黒が浜白が浜とて、黒白おわかちて天然の碁子あり、長門国筋が浜にも然り、〈○中略〉古昔は皆自然の石子お用いたる成べし、今は黒石おいし、白は海蛤おもて磨琢して造成せり、〈○中略〉今唐山舶来の碁子は練成したる物也、雲林石譜には、自然の棋子の事おいへり、南都正倉院所蔵の碁子は、珊瑚瑠璃瑪瑙お用いて、悉く花鳥の画あり、