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雅鷺合戦物語
鶏漏刻博士禅法 九月廿六日合戦 雅鷺発心事
知時、援こそ遁ぬ死処よと雲まゝに、手勢三百騎ばかり、一足もしりぞかず、青鷺信濃守が手に懸合せ、勇士と勇士の相逢なれば、尋常に打合て、火花お散して戦ふたり、葉武者は多く打れて、わづかに一騎当千の兵ばかり戦ひ残りたり、其有様、勝負せめたる中将棊の盤(○○○○○)の上処すさまじき駒の足なみ入乱れて、鳳凰は、奔王と成て八方お破り、飛鷲角鷹は、威お振て当お居食ふ、その働にも似たり、