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将棊絹篩

駒組の大法
一助言の事一相手の持駒、なに〳〵と問ふ事、
一駒ならぶる時、貴人の方へ王お双と心得べし、
一同手三度までする事
〈但三度に及とき、仕掛のかたより替べし、是お千日手といふ、〉
一王早くかた付べし
一王角の筋、用捨すべし、
一王の脇、金銀はなるべからず、
一金銀、歩のかしらに上る事見合すべし、金は進事はやく退こと遅し、
一桂の飛、見合肝要なり、おそき時は勝少し、はやき時は損となるべし、
一持駒すぐに当るやうにうつは常なり、
一願はくはふくみありてうつべし
一端の歩、みだりに突べからず、手後れになる事多し、
一香ば一と通りの駒たりといへども、端の仕懸肝要也、
一駒お手にもちては、はたらき格別なり、歩もちろんなり
一敵の歩、切勘べき事専一なり、
一歩二つより大切にすべき事
一飛角の捨場大事なり
一駒はなれぬやうに上るべし
一竜馬手前にて遣ふ事よし
一竜王敵地にて遣ふ事よし一駒打込て取ぬと勘べし
一王にげ置に能手ある事
一手前に歩うつ事大事なり
一進ては其駒にて前おかこひ、前お囲ては仕懸る事、駒組の大意、上手の態也、
一総じて五筋、或は端に手ある事多し、
一総じて勝事お専とすべからず、手前お全守り、負ざる事お肝要とする時は、自ら勝にむかふべし、
一駒組の定法は、双方宜手お撰ての事なり、敵定法おはなれ仕懸る事あり、おどろくべからず、必末にさしつかへある也、