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退閑雑記

ある人のいふ、江都に火災なくば、なべてさぞ奢に長じぬらん、京大坂なんどの町々は、すでに調度などもさま〴〵風流おなし、家のうちにもかけ物かけ、はななど活たるは、いと多し、江戸の町々、富たるは猶質素にして、おひつゞらなどいへるもの、かたはらに出し、ゆたかなるは将棊なんどするものもあれど、箱のうらに紙はりて盤とする(○○○○○○○○○○○○○)など、ものゝ奢なきは、江戸の火災によると雲しなり、