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槐記
享保十六年十月十九日、昔愛宕故大納言は、将棊の上手なりしが、志はきたなき物也、歩のなりたるは金也、金なれば何であらうとも、本には構ひあるまじきなるに、歩のなりたる金と本の銀と、かへんとは思はれぬもの也、金は金なれども、俗性が歩なる故なりと申されたり金になりても俗性は俗性なること、猶也と申されたり、