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小弓肝要

右条々大概如此、家時卿談義事共、随思出所註之也、彼卿常会合して百手お射し時は、五々度ばかりよりは的に二の穴出来き、中なる穴は予〈○蔵原基盛〉が矢所也、下なる穴は彼卿が矢所也、彼卿は矢長のひきゝことおのみ執思て、敢矢のさがらんずる事おば不恐、為至極之達者故也、終矢各二の穴おのみ通之間音なかりき、百手はてゝ後に、彼的おとりよせてみるに、中の黒より外には総以無矢目、於今者是ほどの事も可難有とかや、凡彼卿人にかはりたることもありき、第一には矢色なり、たとへば上手の鞠、長は高けれども位昇する事閑也雲々、如然矢長ひきくして的おすいよする様にみえて中き、不思議事也、其時我おも世人相対して申しかども、我身の事は難注之、若累葉中に為欲嗜此道者、如形所記置也、更に不可有外見、穴賢々々、