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東都歳事記
二/五月
廿五日楊弓結改(けつかい)総会、〈古板結界に作るは非なり、結改とは鬮お結び改るの謂なり、則百手の内五度づヽ十度結び改る故なり、五月と九月の廿五日、年に二度興行す、山の手の輩は、山王宝蔵院に会し、下まちの輩は、雨国辺の酒楼に集り、勝劣お争ひ、勝れたるお定て江戸一と称す、結改一表矢員二百本なり、中る所五十本以上は朱書、百本以上は泥書、百五十本以上は金貝、百八十本以上は大金貝といふ、其作法委しくは貞享五年刊する所の今井一中が作の楊弓射礼書お見て知るべし、この書は天文十八年述作の楊弓射礼蓬矢抄といへるに注解お加へ、ことごとしく書つらねたる物也、〉