[p.0201]
楊弓射礼蓬矢抄追考
道具の事、
一矢 是もいにしへとは長きあり、短きあり、中比五分長の矢あり、それより此かた、九寸二分三分の矢おつくらせ射る人あり、猶矢たけ長きは間数ちかき道理あるべし、間数近ければ人生によつて落手あり、差手あり、落手の人是お好むべし、しかれども近世九寸二分お用ゆる也、〈○中略〉
一矢代箭の事、用ゆべき作法あり、〈○中略〉今援に是おもちゆるは射手の人数席に望むとき、前後のあらそひあり、其時に、矢代箭お面々より出して、盲どりにとつて、後手にてさぐり、一矢づゝ座におきて去、さて我矢のある席に著くなり、矢の仕様は人の望む処に随ふべし、
一木賊 竪に付るあり、横に付るあり、右木賊左木賊あり、望にまかすべし、又太き細きあり、つまみは古作よりは長きよし、六分半上巻ともに九分、或は前切(まへきれ)後切あり、落指(おちさし)あり、緩む縮るあり、其人のつまみによるべし、望に随ふべし、〈口伝〉