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楊弓射礼蓬矢抄追考
道具の事
一的 桜、藤木よし、大きさ三寸已下也、是も中比より三寸二分、三分、五分までに造り出す也、的お奉書の紙にて張、白粉おうす糊にまぜ、村のなきやうに引、そのうへに大輪お書べし、大輪書やう、まとのふちより三分のけて、輪のふとさ四分たるべし、或はまとのうちに鬼といふ字お書こともあり、〈○中略〉
一堋 高さ三尺五寸といへり、今は是に三寸ながくする也、黒皮に綿お入れ、皮のたけ一尺九寸、下一尺九寸、合て三尺八寸なり、
往年堋の寸法の事、去御方へたづね侍しに、左のとおり御書記し給ひしなり、〈○図略〉
総高三尺八寸、〈○中略〉右の外布衡六尺四方、〈色は紺にても黒にでも〉
添書
後陽成院様の御時の堋は、御時代不知、御蔵に納り候古き堋お御用被遊候由、
総高三尺九寸 幅二尺六七寸計
太鞁の内高さ幅と同位にて、四角に相見〈江〉申候、馬皮にて張、真中に貘(ばく)お彩色に画之候由、右高さは相違無御座候、其外の寸法はとくと知れ不申候由、馬皮にてはり申候は、堋音と的の音、よくわけの聞へ申すやうにとの御事に、可有御座との推量に御座候由、
後水尾院様御時に、右の堋御改被為成、高さは古製のとおり三尺九寸にて、幅一尺七寸五分程にとの勅意お以て、一条恵観公より、金森宗和公へ仰せ付させられ、右の寸法にて、其外木のふとみ、形の恰好、物ずきに被成被下候様にとの、御事にて御座候処に、右のとおりにて、幅御取合不申様におぼしめし候哉、壱尺七寸に五分御ちゞめ被成、其外皆宗和公御物ずきに而、御仕立被成被為上候由、図お仕り進じ候、本阿弥兼入〈光叔楊弓の別号也〉堋も、此御極の格にて御座候、しかしながら足は少